初めてこの作品を観たのはまだ学生のころ。京都の八坂神社の前にある祇園会館で、ロードショーから半年遅れくらいで上映をしていたのを見に行った。確か二本立てで1000円の格安上映だったから、何気なくぶらりと観ただけなんだけど、期待を大きく超える質の高さにめちゃめちゃ感動。映画が終わってからも「よかったなあ」ってため息をつきながら呆然とエンドロールを眺めていたことを今でもはっきり覚えている。
あれから9年もたった今年のGW。
ハリウッド版の「shall we dance?」を観たことで、思い出にまた火がついた。映画館からの帰
り道で立ち寄った書店の棚で、周防監督書き下ろしの小説版「shall we ダンス?」が並んでい
るのを発見。さっそく買って一日もかからずに読み終え「これもまた良い」と感無量。そうしたらタ
イミング良く日本テレビ系列でオリジナルを放映することを知り、当然、チェック。
まさにこの数日間はこの映画の世界に浸りつくした。
で、やっぱり今も「この映画は大好きだなあ」としみじみ思う。
ハリウッド版も悪くないけれど、私としてはやはりオリジナルが一番お気に入り。脇役陣の力量
や魅力は断然、オリジナルが上回っていると感じるし、ストーリーの随所でみられるユーモアに
あふれた細かな場面のちりばめ方は、観ているこちらを嬉しくさせてくれる。竹中直人はもちろ
ん、渡辺えり子、「たま子先生」役の草村礼子、私立探偵役の柄本明、みんないい!
観た人を幸せにしてくれる映画です。
あと今回、初めて読んだ小説版が予想外の出来映えだった。この映画が好きな人はぜひ一
度、手にとってみることを勧めたい。きっと損はしない。文庫で安いし。
ラストシーン以外はほとんどオリジナルと同じなので、どんどん読み進めるはずだ。映画を一
度観ただけでは気付かないような細かい部分を活字で確認して改めて「へえ」と思う楽しみも
ある。そもそも周防監督、小説もうまい。驚いた。
そんな中で、私が思わず目を止めたのは、映画では柄本明が演じている私立探偵・三輪の描
写の部分。映画では彼の事務所の場面で、事務所の壁に映画のポスターが掛かっている(らし
い)のだけど、まあそのことに気が付く人は(よっぽどの映画好き以外は)ほとんどいないと思
う。しかし小説版ではちゃんと丁寧にそこの部分の説明が書いてあるのだ。
ポスターは1972年に制作されたキャロル・リード監督の「フォロー・ミー」という映画のもの。三
輪はこの映画を観てあこがれ、私立探偵になったという設定だ。
「フォロー・ミー」は妻の浮気を疑う男が私立探偵を雇い、妻を尾行させるというところから物語
が始まる。妻は浮気をするどころかロンドンの街をただ気ままに散歩していただけだったのだ
が、いつしか自分の後ろでいつも自分を見守る男(探偵)の存在に気付き、二人の間にはプラト
ニックな愛情に似た関係が生まれてゆく。やがてそのことに気付いた夫は探偵に「お前こそ浮
気相手だ」と詰め寄り、妻も自分の後をついてくる男が夫の雇った探偵と知って激怒する。しか
し探偵は夫と妻が実はまだ強く愛し合っていることに気付いていた。探偵は二人にこう提案す
る。「十日間、あなたが彼女を尾行してみたら」。
きっと周防監督はこの映画のファンなんだろう。ストーリーをみると確かにすごく面白そうだし、
大切な人とのつながりというテーマをどういう風に描いていんだろうと興味がわく。テーマ的には
「shall we ダンス?」と重なる部分もあるんじゃないだろうか。
私はさっそくDVDを買うべくインターネットで「フォロー・ミー」を検索した。
…しかし、ない。どこを探してもない。「フォロー・ミー」は現在、DVDはもちろん、ビデオ化すらさ
れていないのだ。なんということか…。でも観たい。是非、観たい。
というわけで、わずかな希望をこのサイトに託すことにした。
消費者リクエスト型受注生産ショッピングサイト「たのみこむ」
「ミア・フォローのフォロー・ミー、DVD化希望」
賛同者がどんどん増えれば、実現するかもしれない。誰か協力して、賛同者数を増やして下さ
い!
はやく観たいよー。