ここ数日、「結局、あれから夏休みはとれたの?」って聞かれることが重なっている。
そう。僕は8月に石垣島に行こうとしていたのに、休みの初日にとんでもない連続殺人犯が逮捕されたために仕事が忙しくなり、すべてキャンセルになってしまったのだ。
果たしてそれからどうなったのか…
結論から言えば、一応、先週までに「消化」はしました。はい。
でも今回の夏休みは、入社して以来、ある意味で最悪だった。
夏休み名目で取得できる日数は、平日で5日。これに土日をくっつけて一週間にするというのが標準パターン。まず僕は8月末に、そのうち2日を取材で使った。
どうしても東京に出張して会いたい人物がいたけれど、どうもそれだけでは出張が認められそうになかったから、上司には「実家に帰る」と言って東京へ。取材に費やし、夜は昔のなじみの飲み屋さんにちょこっと顔を出して、慌ただしく関西に逆戻り。まあ、これは自分でも納得ずくだったので、いいとしよう。魅力的な人物に会うことができたし!
問題は残りの3日分だ。
悪夢の始まりは9月に入ってからほどなくの金曜日の夜のことだった。仕事を終え「お疲れさまです」と立ち去ろうとする僕に、いきなり上司が声を掛けた。「お前、月曜休めよ」。ほとんど命令口調である。「今は事件の動き、何もないんだろ」。
…いや、ないけどさ。さすがに少し不満に思ったものの、ちょうど運転免許の更新期限がぎりぎりだったこともあり、僕はおとなしく「わかりました」と休暇取得を受け入れた。後から考えればこれが甘かった。
月曜日。伊丹の免許センターで無事に免許を更新し、夜になってのんびり家でテレビをみていると仕事用の携帯電話が鳴った。相手は上司。
「お前、明日って何か事件の動きとかあるわけ?」
「いや、特にないはずですけど…」
「じゃあ、明日も休めよ。わかったな」
「は?…えっ?」
気付けば切られている電話。
火曜日。前日遅くに言い渡された休日を堪能できるわけもなく、何だか不完全燃焼のまま深夜に近くのバーで酒を飲む僕にまたまた電話。「明日も何もなかったら出てこなくていいから」。「いや、そりゃ何もないですけども…」「うん、じゃあよろしく」
…こうして月、火、水と3日間、なし崩し的に休みにされ、当然、どこかに旅行に行くということもなく、それどころか友人と会う約束すらできないまま僕の「夏休み」は終わった。
部下があんまり休みを消化していないと、直属の上司が部長から怒られ、部長は人事部から怒られる。きっとうちの上司も部長の機嫌を気にしたんだろうな、という背景はよくわかるのだけれども…でも、これってあんまりひどすぎやしないだろうか?自分は7月と8月に二回も計10日間くらい休んで、家族で沖縄とかいろいろ行ってたくせに…。ぶつぶつ…。
木曜日に出社すると上司からは「おお、ゆっくり休めた?」などと無神経なひと声。無言で、じろりとにらむけど、効果なしの様子だった。無神経な人というのはとことん無神経なもので、本人は全く悪いと思っていないのだ。それは次の週はじめの月曜日、あり得ない形で再び思い知らされることになる。
日曜も働いての、ちょっとしんどい月曜日。早朝6時に家を出て一仕事を終え、眠い目をこすりながら午前10時前に出社した僕に、上司は平然とこう言い放った。「あ、そういえばお前、代休が一日残っていたから、今日は休みなんだよ。帰っていいよ」。
…ここまで来ると既に怒る気力もなしの僕。
「自分の身は自分で守るしかないってことだな…」と痛感しつつ、そのままUターンして家路についた。
今は「正月休みで絶対リベンジしてやる」と堅く心に誓っている。