先輩記者と雑談していたら、記事の中で使う表現のくせみたいな話になった。
記者それぞれに、好きなフレーズというのがあって、ともすればそれはワンパターン化する。
ちなみに私は入社してから2、3年目くらいのころ、「声が弾む」病に感染していた。
とにかく気づけば、記事中の登場人物が「声を弾ませて」いるのだ。
あと「喜びを隠せない表情」とかもよく使ってしまう。
たまにはいいのだけど、多用するとちょっとみっともない。
先輩記者は私と所属部署が違い、彼はお役所関係の硬い記事を書くことが多いのだが、
その部には「浮き彫り」病が蔓延しているという。
記事を書いていると、なんでもかんでも「…浮き彫りになった」としてしまうらしい。
そういう記者は、”彫り師”と揶揄されるという(これはうそだけど)
「横着しないで、ちゃんと頭で考えた表現で記事を書かなきゃね」などと、非常に模範的な
結論に達してから一夜明けた朝、新聞を開いたら、自分の所属部署から出稿されたトップ
記事の冒頭が、「浮き彫り」になっていた。
浮き彫り病の感染力、恐るべしである。