新聞を読んでいて、ひさしぶりに涙が出そうになった。
1月17日朝刊の毎日新聞(東京版)。阪神・淡路大震災から10年の日。
毎日は、一面から社会面まで全部を使って、この10年はどういうものだったのかを伝えた。
そういう新聞は、東京で配られている中では、唯一、毎日だけだった。
ほぼ全面にわたって掲載された被災者や関係者のインタビューは、胸に迫った。
政治面もスポーツ面も生活面も社会面も、それぞれの立場から神戸を語り、震災を描いていた。
それぞれのエピソードや記事も心に響く良いものが多かったけれど、それよりも新聞全体を
通して、「私たちは震災を忘れない」というメッセージが伝わってきた。
正直、すごいと思い、ライバル社としてうらやましいと感じ、一人の記者として嫉妬すら覚えた。
もちろん、各紙とも大阪版では全面的に展開しているのだろう。
でも、それでいいのか。あえて東京版でも同様の報道をすることを選択したことに、意味が
あるんじゃないか。新聞が発することができるメッセージは、記事の中の「…するべきだ」っ
ていう言葉だけじゃない。むしろこうしたやり方が本当なんじゃないかって、今朝、そう思った。